スギ花粉の時期。
毎年のように雑誌やテレビで、スギ花粉症の最新治療法、効果的な食べ物、効果的な生活習慣、等が特集されますが、試してみても完全に解消される人は少ないのではないでしょうか。
そこで花粉症の方に伺いたい。【避粉地(ひふんち)】ってご存じですか?
花粉症は花粉が飛ばない場所に行けば緩和されます。避粉地とは花粉飛散量が至極少ない場所のこと。何年か前に避粉地の存在を聞いたことがあり、年々盛況を見せているのだろうな~と思っていたのですが調べてみると結果は意外なことに……
長崎県・的山(あづち)大島
【避粉地】と銘打って花粉症患者を対象にモニターツアーを組んだのは、長崎県・的山(あづち)大島が最初のようです。
2008年にツアーはスタートし、3月に毎年数十人を募って長崎県の離島である的山大島へ行き花粉症患者の症状の変化を伺うというもの。ツアーには医者も同伴し花粉症のセミナー、もちろんレジャーや観光も楽しめる内容。
眼や鼻が急に楽になって症状が和らいだという結果が如実に出るそうで、さぞや花粉症患者が大勢訪れるだろうと思い、観光課へ反響を問い合わせてみたところ…
・花粉症患者が大挙して島に訪れるというわけでもない、それは過大評価。
・今年はモニターツアーを見送り
とのこと。
なんだかのっけから拍子抜けです。
花粉症の無い 的山(あづち)大島ってどんな島?
ちなみに、こんな動画もアップされていて、年配の方が島に訪れています。確かにリゾート、旅行!って感じではないですが……花粉症の人には夢のような生活が待ってます。
沖縄県・宮古島(奄美群島)
次は沖縄。沖縄は気候的にスギが生育しにくい環境なので、殆どスギ花粉が飛散しません。宮古島に限らず、沖縄県全域と離島は避粉地と言ってもいいくらいです。
特に本土でスギ花粉が強烈な3~5月の沖縄はとても過ごしやすい時期なのでさぞや花粉から逃れる人が多いのかと思いきや、観光課に問い合わせてみると、
・花粉症回逃避の目的で訪れる人の統計を取っていないのでわからない
また、マンスリー、ウィークリーで滞在する人もいると聞いたので不動産屋さんに問い合わせてみたところ…
・いるかもしれないけど聞いたことない
とのこと。うーん、どうも盛り上がりません。
北海道・釧路
釧路市ではホームページでも避粉地を大々的にPRし、長期滞在ができる宿泊先の紹介もしているほど積極的でした。しかし…
・避紛旅行商品なども企画しているが、毎年避紛目的で長期滞在するのは、年齢50~70代が多く4~5組程度。
とのこと。認知度が低いみたいです…
東京・小笠原諸島
沖縄・北海道は遠いかも知れません。東京から南へ1000キロ。関東からなら最も足を伸ばして行きやすいのかも。こちらも観光協会に伺うと…
・避粉地として数年前から少しPRもしていますが特別なツアーは見受けられない
・長期滞在もできるが、短期で予約が入っている場合が多いのでなかなか難しいかも
それぞれの回答をまとめると、それほど盛況というわけでもないみたいです。花粉の時期に観光客を呼び込もうという動きもありますがイマイチ集まらないようですね。
私が思うに、避粉地が流行っていないと考えられる理由は概ね3つ。
・花粉飛散時期に、ずっと長期滞在するわけにも行かない
・北海道・沖縄・小笠原諸島など、どこも遠くて費用がかさむ
例えば週末だけ避粉地へ行って快適に過ごせても地元へ帰ればまた辛い日々が待っているし、あまり変わらない。長期滞在できるとすればお金と時間に余裕のある年配者だけ。
最後に、上の2つを凌駕して
・そもそも『避粉地』の存在を知らない
ネットで検索すると沢山ヒットしますが、意外にテレビや雑誌等で紹介されていないみたいです。いつか暮したい移住地の条件に、花粉が飛ばないところ、もありですよね。そんなアプローチも面白いと思うのです。
お休みの週末だけ旅行へ出るのなら、せっかくだったら花粉から逃れたいとして避粉地へ訪れる人も案外少ないようです。
認知度が上がればもっと喜ばれる花粉対処法の一つに入るのではないでしょうか。
避粉地の認知度が高まればそのうちメジャーになり、この時期の飛行機などの運賃や宿泊費が割高になる!? なんてことがあるかもしれません。
< 取材・文 / 石原ヒサトシ >