鴨川のほとりに佇むラグジュアリーホテル「ザ・リッツ・カールトン京都」が、2024年2月に開業10周年を迎えた。記念イヤーを祝して特別なプロモーションを開催中だが、なかでも京都蒸留所とのコラボレーションで誕生した10周年限定のクラフトジン「季能美(KI NOH BI)」に注目したい。
今回は、同ホテル内「ザ・バー」で開催されたお披露目イベントに参加し、開発者に直接「季能美」の魅力を聞いてみた。
ザ・リッツ・カールトン京都 開業10周年記念ジン「季能美」とは
「ザ・リッツ・カールトン京都」の10周年記念で生まれた限定ジンは、同ホテル内の「ザ・バー」で味わえる。クラシックさもありながら、スタイリッシュで洗練された空間は、さすがリッツといった雰囲気だ。
カウンターにずらりと並んだ迫力のあるボトル。これこそが、10周年記念で生まれたオリジナルクラフトジン「季能美(KI NOH BI)」だ。京都蒸留所の「季の美」と、ザ・リッツ・カールトン京都「ザ・バー」でヘッドバーテンダーを務める浅野陽亮氏がコラボレーションし、この特別なジンが誕生した。
そもそも「季の美」とは、お米からなるライススピリッツを使用したドライジンだ。ウイスキーのように樽で熟成させる過程を経ることにより、特徴的な香りをもつ。また、ジンに欠かせないボタニカルには玉露や柚子などの日本らしい素材を積極的に採用し、そのほとんどが京都産のものである。どこまでもジャパニーズスタイルを追求して生まれた、京都が誇るジンだと言えるだろう。
「季の美」はこれまでに28種類の限定品を生み出していて、今回は「29thエディション」として誕生した。限定品はすべて「季の美」ではなく「季“能”美」と称し、それぞれ異なる能面の写真がラベルに施されている。
開発の軸となった「2つのキーポイント」
京都蒸溜所で製品開発を担う遠藤光祐氏は、以前より「ザ・バー」に訪れるゲストだったという。日常のなかでヘッドバーテンダーの浅野陽亮氏と出会い、自然な流れで今回のコラボレーション企画の話がスタートした。
開発でキーポイントにしたのは、日本固有である「ミズナラの樽」と「堀井七茗園のお茶」。ミズナラの樽はウイスキーの熟成でもよく使われるもので、和テイストの香りが特徴的だ。浅野氏は、そんな樽で熟成した「季の美」をメインに選択した。また、過去にもホテルとコラボレーションしたゆかりのある宇治市の老舗「堀井七茗園」のお茶を、和のボタニカルとして採用し、理想のテイストを追求していった。
ホテルバーならではの想い
より飲みやすくするために、オレンジとグレープフルーツも使用した。ホテルという場所だからこそ、さまざまなゲストが楽しめるよう、ロックだけでなくカクテルベースにしても味わえるブレンドにこだわった。
こうして生まれた「季能美」を使った期間限定カクテル「RCK 10周年ジントニック(3,163円)」は、グレープフルーツ、エルダーフラワー、ドライオレンジなどで構成されている。驚くほどにフルーティーで飲みやすく、「たくさんのゲストに味わってほしい」と浅野氏が込めた想いが見事に実現されている。
そのほか、りんごのブランデーであるカルヴァドスに、ほんの僅かにエルダーフラワーを加えた「RCK 10周年マティーニ(3,542円)」もラインアップに並ぶ。
「ボタニカルの軽やかさだったり、旨味だったり、そういったものをカクテルの瑞々しさから感じてもらえると思います。こだわりを話し出したら、いつまでも喋れちゃいますよ」と語る遠藤氏は、とても楽しそうだ。
開発者のポジティブな想いが、めでたい一杯に
開発当初から方向性は見えていたと話す浅野氏だが、苦労したことはなかったのだろうか。「蒸溜所まで足を運んで1ミリ単位で味を調整しました。普段カクテルは作っていますが、元になるお酒を作ったのは初めての経験だったので、苦労というよりも過程がすごく楽しくて、よい経験でした」と終始にこやかだ。
二人の開発者が紡ぐ生き生きとした言葉に、とてつもなくポジティブなバックボーンを感じた。「季能美 29thエディション」は、開業10周年というめでたいシーンに相応しいプロダクトに違いないだろう。
京都を訪れる際はぜひ味わってみてほしい。非日常の優美な空間と、一流のサービスとともに、めでたい一杯に酔いしれたい。