イーデザイン損害保険は、ネットでも話題になった「魔の7歳」の事故削減のため、金沢大学融合研究域融合科学系の森崎裕磨助教との共同で、声かけデバイス「おまもりもし子」の実証実験を実施。実験に参加した児童の62.5%に飛び出し行動の抑制効果があったと発表しました。
イーデザイン損保は、事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを共創することを目指し、交通事故の死傷者数において7歳児が突出して多いことから「魔の7歳」と呼ばれていることに着目。「魔の7歳」の交通事故を削減するため、家の周りや通学路の危険箇所を見える化する「もしかもマップ」を展開してきました。
同社はさらなるアプローチとして、端末にインストールされたアプリを立ち上げると加速度センサーによって飛び出しを検知する小型のアラートデバイス「おまもりもし子」を開発。「おまもりもし子」はランドセルに付けられ、飛び出しを検知すると「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音声で危険を知らせてくれるもの。GPS連動によって事前に設定した危険エリアに子どもが入った際はアラートを出すことが可能で、アラートが鳴った回数はアプリ上で確認できます。
実証実験では、小学生約30人に「おまもりもし子」を携帯してもらって加速度検知を行い、児童の駆け出し行動の回数や発生場所、音が鳴った後の速度変化を調査。そのなかで駆け出し行動があった児童を対象に、音を鳴らさない期間と、「プップー(車のクラクション音)+止まって」という音を鳴らす期間を3日ずつもうけて比較しました。
結果、62.5%の児童が音ありの期間に駆け出し回数が減ったことが判明し、飛び出し行動の抑制に効果があったことが確認できました。さらに、児童や保護者からは、「歩く時に気をつけるようになった」「音を鳴らさないように歩きたいと思い、走る回数が減った」という声があり、デバイスによって「飛び出しは危険」という意識が強まったとみられます。
その一方、交差点付近で信号のないような危険度が高い道ほど児童の駆け出し行動が多く、事故リスクが高いことが分かりました。そうしたエリアでは、危険行動を起こさない習慣づけや意識づけをしないと事故が起きかねず、とくに注意が必要なようです。
この結果を受けて、森崎氏は以下のようなコメントを寄せました。
「本デバイスの実証実験では一定の加速度検知された瞬間に『プップー!止まって』といった音を設定したところ、子どもの加速が抑制されることが分かり、飛び出し行動に抑制効果があると判明しました。検証結果を踏まえ、一緒にいるときにお子さんが飛び出した場合には『止まって!』など、具体的な行動がわかる声掛けができると良いと確認できました。ご家庭では、保護者の目が届かない登下校時の飛び出しを防ぐために、改めて通学路の危険箇所を親子で振り返っていただきたいです。
また、子どもたちの危険行動が特に多かったエリアは交差点付近で信号がない道だと実験を通し再確認できました。交差点付近で信号がない道そのものが危険なことはもちろんのこと、友達との会話が盛り上がったりなど他の要因が重なることで駆け出し行動が起きやすいため、登下校時は特に注意が必要です。子どもの走る速度/止まってくれる音は個人差があると考えております。したがって、今後は音が鳴る加速度の閾値を自由に変更できたり、保護者・学校の先生の音声を登録できるようにするなど、学術研究の視点からも開発に携わっていきたいと考えております」
【もしかもマップ】
https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/
【もしかもプロジェクト】
https://www.sdw.e-design.net/moshikamo/project/