かつお節一筋100年超の老舗マルトモがつくったペット用のおやつが凄い！

最近TVCMでもみかける「かつおだいすき」をご存知でしょうか？愛媛県伊予市に本社を構える、100年を超えるかつお節の老舗「マルトモ株式会社」が発売するペットのためのおやつです。

ペット業界の削りぶしではトップクラスのシェアを誇り、知らない人はいないといわれる人気商品です。ペット用ですが人間と同じ製法でつくられており、人間が食べてもまったく問題ないそう。そんな、かつお節一筋のスペシャリティが手掛けるペットのおやつのクオリティはどのようなものなのか？気になり取材を申し込んだところ、快く引き受けてくださいました。

TVCM「あっ、かつおだいすきの時間だ！」篇 15秒より。　エンドクレジットが“ニャルトモ”ってなっていますね（笑）

マルトモのかつお節が大好き！愛媛の猫はみなグルメ

愛媛県といえば、猫好きなら誰もが一度は行きたい猫の島「青島」がある聖地。青島へと渡る船がでる長浜港（大洲市）から、JR予讃線（よさんせん）で1時間、または国道378号（夕やけこやけライン）を30分ほど走った先の伊予市に「マルトモ株式会社」（以下、マルトモ）はあります。

瀬戸内海に面した豊かな漁場を擁する伊予市を中心に、愛媛県は全国一の削りぶし産出量を誇ります。伊予市の駅前の通りは「花かつお通り」と呼ばれ、マルトモをはじめヤマキといったかつお節専門メーカーが並び全国の50％がここで生産されています。

マルトモ「ペットフードカテゴリーに本格的に参入したのは2015年くらいになります。開発前から“うちのねこちゃんはマルトモのかつお節しか食べない”というお声があり、聞けば食い付きが違うそうで、ならば本気でつくってみようかと。当然、ペットの知識は皆無ですから、人間と同じものをペット用に可愛く目立つパッケージで売り出したところ、これが大好評で。お陰さまで毎年10％の伸び率を記録しています」

なぜ、こんなにも食い付きが良いのか、マルトモと共同研究を行う岡山理科大学獣医学部獣医学科の深瀬徹教授は「鮮度」の違いが大きいとしています。そして、もうひとつの理由が「食感」。マルトモではミクロンマイスターという、削りぶしの厚さを1/1000ミリ単位で調節しながら削れる職人がおり、その職人らが実験を繰り返し、猫の反応をもとにたどり着いたのが今の厚み。ペットたちは、そこから生まれる食感に夢中なのです。

腎臓が弱い猫には減塩おやつ

人間と同じ製法とクオリティでつくられている「だいすき」シリーズですが、健康を気遣う飼い主やペットのためにつくられた塩分控えめの「減塩」も人気で、こちらはペット用のみの販売です。

マルトモ「かつお節の塩分は高くても2％くらい。人間にはまったく影響のない数値ですが、猫は人間にくらべ腎臓が弱い傾向があるため「だいすき」シリーズの「減塩」は0.9％以下の塩分量でつくられています。この塩分の差は製法の差ではなく“漁獲方法絵の違い”によるものです」

例えば、まき網漁でいちどに数百tの魚を捕まえた場合、大量の魚をマイナス20℃で凍結保存させます。その際に飽和食塩水を使うため、その塩分が魚に染みこみます。マルトモの「減塩」シリーズは、いちどに獲れる数が限られる伝統的な一本釣り漁法で漁獲されたカツオを使用しているため、塩分が少ないのだそうです。

ペットフード専門店ではできないペットフード

ペットフードメーカーではなく、かつお節メーカーだからこそできた「だいすきシリーズ」。特許出願数は135件でトップクラスのマルトモですが、鮮度と品質の良い一級品の削りぶしをつくり続けるため、40年ほど前から業界初の「鰹マーチャンダイズング®」に取り組んでいます。

マルモト「削り節は魚の調達からはじまり、加工、梱包までさまざまな人が関わってつくられていますが、それぞれ業態がばらばらでバリューチェーンがつながっていません。これを弊社では、車座で話し合い合議制によりモノづくりを一緒に進めるワンチームで行っています。会社こそ別ですが、どの業者さんも上下なくフラットな関係です」

業態ごとに隔たりがない分、鮮度も良く売り買いのスピードも速い。良いこと尽くめだといいますが、これは、マルトモが削りぶしづくりを通して、長きにわたり構築してきた関係があるからこそ、その日限りの関係ではできないことです。