【沖縄スケーター達の架け橋“橋コン”リポート】取材してわかったストリートカルチャーにとって大事な事

2022/12/14
放送作家 小嶋勝美

沖縄のスケーター達に“橋”と呼ばれ、親しまれるスケートパークがある。

正式名称は、南風原スケートパーク。

ここは今から20年以上前“橋”近くの駐車場でカーブボックスなどのセクションを置いて滑っていた地元のスケーター達が、町役場との話し合いを重ねた末、2005年にオープンしたスケートパークだ。

このパークが出来る前、まだ“橋”という名前しか無かった頃から作り、育て、守り続けるスケーター達が開催する“橋コン”というイベントがある。

この橋コンは、沖縄のストリートカルチャーを世間に発信し、さらなる沖縄のストリートカルチャー発展の為に開催される、彼らにとっては大事な一大イベント。

※橋コンの詳細に関しては以下の記事参照

https://magazinesummit.jp/hobby_sport/898909090

(主催者の謝花明徳氏の“橋コン”インタビュー記事)

12月10日〜11日に渡り、沖縄県南島尻郡南風原町にある南風原スケートパーク(花・水・緑の大回廊公園内、那覇空港から車で約25分)で行われ、2日間で約1400人の来場者を集めた“橋コン”を現地で取材してみた。

【スケートカルチャーに興味がある人なら誰もが楽しめる】

橋コン初日は、沖縄のスケーター達とも深い繋がりを持つスケートボードチーム、TUFLEGクルーによるスケートボードスクールからスタート。

初めて板に乗る初心者から世界に通用するトリックを教えてもらう上級者クラスまで、いろいろなスケーターが集まった。

TUFLEGクルーと沖縄を代表するプロスケーター達とのセッションタイム。

サッカーや野球と違い、プロスケーターも一般スケーターも滑るフィールドは一緒。

同じ場所で切磋琢磨し、お互いを高め合う所もスケートボードの魅力の一つ。

スケートパーク隣のドリームコートでは、キッズ達が使い終わったデッキに絵を描いていた。

完成したデッキを繋げると、アーティスティックな“はえるん(南風原町のマスコットキャラクター)”に。

11月に行われた波の上フェスティバル(通称、波フェス)ではキッズの描くアートデッキがNFT化され販売。

今回のアートデッキもNFTアートとして販売される予定で、収益は今後の沖縄スケーター達への活動費などに還元されるという。

ウクレレシンガー、KAIKIライブ

橋を吹き抜ける心地よい沖縄の風に乗って、ウクレレの音色がスケートパーク内に流れていた。

ブレイクダンスの動きを取り入れた新しいトレーニング、hiit the beat体験会。

体験会ラストではビートに乗った腕立て大会が開催され、優勝者にはデッキやTシャツが送られた。

沖縄県で唯一のヒューマンビートボクサーT.Kによるライブ

【誰でも参加可!突如始まるミニコンテスト】

スケボー越えハイジャンプコンテスト photo by @zenzenzenta

初日のイベントが一通り終わった後、突如始まったミニコンテスト。

スケートボードに乗れなくても誰でも気軽に参加出来るとあって、大きな盛り上がりを見せた。

スケボー越え高跳び優勝者・小嶋勝美(41歳)。記録15枚。

スケボー越え幅飛びコンテスト Photo by @zenzenzenta

スケボー越え幅跳び優勝者・高江洲 空音くん、記録は19枚。

【橋コンの魅力が詰まったコンテスト】

ガールズクラス出場の2人

2日目に行われたコンテストは5分間のジャム形式で行われ、12歳以下のクラスは参加人数が3人、ガールズクラスは2名のみの参加だったが、参加者の玉城利枝さんは今後の沖縄ガールズスケーターシーンを盛り上げていきたいと意気込んでいた。

沖縄のガールズシーンはまだまだ始まったばかり。

立本和樹/スイッチK(クルックド)グラインド

今回のコンテストで一番参加者の多かったのが35歳以上クラス。

プロもアマも関係なく楽しむ大人達の姿に、見ている側もみんな笑顔に。

友利 日光 太郎/ユートピア

独特なトリックで会場を沸かせたのは、知る人ぞ知る、ユーリ教の友利日光太郎。

決勝では1度もオーリーをせずに滑りきり、最後にはレッジでユートピア(本人より)という技をメイクした。

ランデル健/アクセルストール
山城正隆/ノーリーフリップ

若手とトッププロスケーター達によるガチンコ対決の様相を呈したオープンクラス。

沖縄のプロスケーターと東京から参戦したTUFLEGクルーによる、ハイレベルなトリックの応酬に“橋”は大盛り上がり。

濱村大征/360キックフリップ
吉原武/オーリーレイトフリップ

【スケーターを繋ぐ、架け“橋”】

スケートボードがスケートボードらしくいられるように動き続ける人達がいる。

“橋”には〇〇禁止といった類の看板がない。

それはこのスケートパークが存在する前から、この場所で滑っていたローカルスケーター達の考え方や意識、経験が受け継がれているからだ。

今を生きるスケーター達と、これからを盛り上げるスケーター達へ、スケートボードがスケートボードらしくいられるように動き、楽しむ事を伝える。

そこにあるのは抑えつけるのではなく、受け継いでいくスケートボードの文化。

彼らの“橋”はこれからも変わらずスケーター達を繋ぐ架け橋になっていくだろう。

沖縄の風に煽られるように滑り抜けていくスケーター達の滑りと笑顔を見て思ったのは、この場所がスケートパークとして認められる以前からあった同じ笑顔が、今もこの場所で生まれ続けているという事。

“楽しむ”というシンプルだけど、大事なストリートカルチャーを肌で感じる事が出来るイベント、それが“橋コン”でした。

【橋コン・スケートボードリザルト】

12歳以下クラス表彰。参加人数が3人だったので、参加しただけでも豪華商品をゲット。

優勝 新屋 杏空(シンヤ アンク)

2位 田中 聖真(タナカ キヨマサ)

3位 有本 悠人(アリモト ハルト)

ガールズクラス表彰

優勝 與那城 心(ヨナシロ ココロ)

2位 玉城 利枝(タマキ リエ)

18歳以下クラス表彰

優勝 宮城 竜太(ミヤギ リュウタ)

2位 高江洲 空音(タカエス クオン)

3位 與那城 守逢(ヨナシロ モリア)

35歳以上クラス表彰

優勝 立本 和樹(タテモト カズキ)

2位 友利 日光太郎(ユウリ ニッコウタロウ)

3位 ランデル 健(ランデル ケン)

オープンクラス表彰

優勝 山城 正隆(ヤマシロ マサタカ)

2位 濱村 大征(ハマムラ タイセイ)

3位 吉原 武(ヨシハラ タケル)

写真(一部を除く)文・小嶋勝美

スケートボードの情報を幅広く執筆する、スケートボードライター兼放送作家兼スケーター。

10年間のお笑い芸人生活を経た後、放送作家をしています。

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放送作家 小嶋勝美
この記事を書いた人

放送作家 小嶋勝美

お笑い芸人として活動後、放送作家に転身。 スポーツ番組やバラエティ番組などに携わる傍ら、20年以上続けている大好きなスケートボードのライターとしても活動。 コンテスト記事の他、スケボーの情報や面白い発見を伝えていくと共に、スケートボードが持つ素晴らしさを多くの人に広めていきたいと思っています

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