今回お話を伺ったのは有限会社統美の代表取締役 染谷幸宏さん。
尊い命、故人様を送る仕事への想いと新たに開発された故人専用化粧水「看送水(みそうすい)」について語ってくれた。
染谷氏は「心ある人の心の業務」というキャッチフレーズに惹かれ、湯灌納棺会社に入社。
仕事を通じて、懸命に生きた命を尊んで送ることが大切だと考えた。
ただ綺麗にお化粧をさせていただくだけではなく、心を込めて皆様が、”その人らしく”来世へ旅立っていただけるお手伝いができたら。
同業他社と比べるのではなく、自分たちの考えに賛同してくれる方々のお力になりたいと独自化を目指し有限会社統美を起業。
”自分たちには何ができるのか” そして ”どうすれば自分たちの想いが伝わるのか”を考え続け、「心残し」のないお別れのお手伝いを大切に努めているそうだ。
独自化の一つとしては、どういった状態の故人様であってもしっかりとお別れができるようにグリーフケアの講習や、お顔の修復や匂いを除去する特殊技術を習得し、お客様に提供している。世の中には病院で亡くなる方もいらっしゃれば、異常死と言われるように事故で亡くなられる方もいらっしゃるという。
どのような方もお預かりし、どのような命であっても、お一人お一人の物語の終わりを大切にしたい。と染谷氏は語ってくれた。
そんな想いの中、誕生したのが故人専用化粧水の「看送水(みそうすい)」。
「看送水(みそうすい)」は、故人様のお肌を細菌の増殖や乾燥に伴う変色、変形等からお守りしてなるべく美しく保つ。
開発の経緯は、故人様が美しい状態で御葬家様とお別れができるようになる製品を染谷氏が探し求めていた際に、化粧品の研究開発をされていた、株式会社ヒュッゲの目代啓祐さんとの出会いだという。染谷氏の”どんな故人様も美しくしたい”という想いに共感した目代氏と共に開発へと至った。
当初は故人専用消臭剤を開発予定だったが、染谷氏の想いを聞いていくうちに
「本当に必要なのは化粧水なのではないか」という目代氏からの提案により化粧水開発がスタートした。
しかし開発への道のりは苦労の連続だったという。
ものづくりの経験がない中でとにかく試行錯誤し、故人様を送り出すものだからこそ、
中身だけではなくパッケージにもこだわり高級感があるようにと箱のデザインや瓶のデザインなど1から悩み、女性の意見も交えながら考え抜いた。専門業者へも連絡をとったという。
亡くなられた方が最後に使うお化粧水だからこそ、効果があるかもしれない。ではなく効果のあるものに。そして世に出すからには長く愛される化粧水にしたい。そんな染谷氏と目代氏の想いから、日々意見を交換しながら良いものをもっと良いものに、改良に改良を重ねて一切の妥協を許さずとして誕生したのがこの、これまでの常識を覆す「看送水(みそうすい)」だ。
故人様の顔色が変わってしまったりお化粧が崩れてしまうことはご家族にとってもショックが大きいことなので、美しい状態を保つためにも可能な限り早い段階で看送水を使って頂きたいという。
「故人様のケアは葬儀社や病院に任せるのではなく、ぜひご家族の手で美しくしてお見送りをして頂きたい。故人様との最後のひとときはほんの一瞬。この看送水を使って故人様に携わることでしっかりとお別れができ、喪失感が異なり、その安心感をご家族自身の気持ちの中で育んでいただけたほうが、大切な方を失くしたという心の傷からも早く回復ができたり、その後の精神疲労が軽減されたりもする。最後に故人様に触れる時間によってしっかりと大切な人を見送れた、最後に何かできたという想いに繋がる。その想いをぜひ大切にして頂きたいです」と染谷氏は話す。
以前は当たり前であった「亡くなった方に触れてお別れをする文化」が現代の日本ではタブー視される傾向にある。
昔と異なり今は簡略化が進んでいる葬儀や故人様の身支度だが、心の整理をする上で「看送水(みそうすい)」は故人様に触れるきっかけにもなり、非常に有意義で大事なものになるだろう。触れてお別れをするという、無くなりつつある日本の古き良き文化を取り戻すことにも繋げられたら。また、これからの高齢化社会に向けてこのような時間が多くの人の役に立ったらと染谷氏はこの商品に対する想いを語ってくれた。