温かいスープが一段と美味しくなる季節ですね。先日は、日本スープ協会がスープにまつわるセミナーを開催しました。そこでは市販のスープで簡単に作れるスープレシピのほか、スープをはじめとした料理をよりおいしくつくるための方法が専門家より紹介されました。
今回は、その中からスープをおいしくするコツとスープレシピを3つご紹介。料理ベタな人こそ必見です! ぜひトライしてみてください。
■誰でもおいしい料理をつくるためのコツがあった!
セミナーに登壇していた東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の管理栄養士 田端稔先生によると、おいしい料理をつくるのにはコツがあるといいます。いくつかポイントになることをピックアップしてご紹介します。
●うま味成分は違うグループで組み合わせると相乗効果によりうま味が7~8倍へアップ!
おいしい料理の一つの条件として「うま味」があることが挙げられます。甘味、酸味、塩味、苦味といった基本の味の一つです。この「うま味」を出すには、うま味成分を使うことはよく知られています。
うま味成分は、主に次の3種にわかれます。
1.アミノ酸系(グルタミン酸)
昆布・しょうゆ・みそ・大豆・玉ねぎ・チーズなど
2-1.核酸系(イノシン酸)
かつお節・煮干し・牛肉・鶏肉・ベーコンなど
2-2.核酸系(グアニル酸)
干ししいたけ・まいたけ・マッシュルームなど
どれもおなじみのうま味です。実はこれらは、違うグループで組み合わせると、相乗効果にうま味が7~8倍へアップするそう! ぜひ試してみましょう。
●スープに合う食材のおいしさを逃さない方法
続いては、スープに合う食材について、おいしさを逃さず使う方法です。豚肉ときのこのテクニックを見ていきましょう。
1.豚肉(薄切り)はゆですぎない!
薄切りの豚肉はゆですぎないことが大切なのだそう。
薄切りの豚肉は長時間煮ると、うま味のコラーゲンが煮汁に出てしまい、パサついた食感だけが残ってしまうとのこと。
ポイントは、豚肉はさっとゆで、仕上げの段階でスープに戻すこと。豚肉に豊富なビタミンB1は水に溶ける性質があるため、ゆで汁を活用できるスープ料理がおすすめだそうですよ。
2.きのこ類は冷凍するとうま味アップ!
きのこは種類に関係なく、冷凍すると細胞内の水分が凍って体積が膨張し、細胞膜が破れて細胞が壊れることで、生の状態よりもうま味成分がアップするそうなんです。
きのこ類は冷凍しておいたものをスープ調理として利用するのがおすすめだそう。
すぐに調理ができるように切って小分けにして冷凍しておきましょう。
調理する際には解凍せず、ドリップと一緒にうま味も抜け出してしまうので、解凍せずにそのまま使用しましょう。
■市販のスープを活用した簡単アレンジスープレシピ
イベントでは、スープ作家の有賀薫先生が市販スープを活用した簡単アレンジスープレシピを紹介しました。今回は、その中からおいしい3つのレシピをご紹介します。
(1)きのこたっぷりミネストローネ
明治の「まるごと野菜 完熟トマトのミネストローネ」に冷凍きのこを加えてうま味がアップするレシピです。
【材料(1人分)】
・まるごと野菜 ミネストローネ 1袋
・好みのきのこ2~3種類(冷凍) 40g
・塩 ひとつまみ
・オリーブオイル 小さじ1
【作り方】
※事前に3種類ほどのきのこを手でほぐしたり切って混ぜ、冷凍しておく。
1.小鍋に冷凍きのこを入れ、水少々と塩ひとつまみを足してふたをし、蒸し煮する。
2.まるごと野菜をレンジで指示通り温める。
3.2を皿に移し、きのこをトッピングして、オリーブオイルをまわしかける。
ほとんど調理の手間が要らないので、普段料理をしない人も手軽にできそうです。
(2)歯ごたえたっぷり、ごぼうと豚肉のごまスープ
理研ビタミンの「わかめスープ ごま1000粒のおいしさ焙煎ごまスープ」を使った、ごぼうとごまの香りと歯ざわりが楽しいスープです。
【材料(2人分)】
・焙煎ごまスープ 2袋
・豚肉薄切り 40g
・ごぼう 10cm(40g)
・冷凍まいたけ 30~40g
・酒 大さじ1
【作り方】
1.鍋にごぼうをささがきにしながら切り落としていく。冷凍まいたけ、酒大さじ1と水400mLを加えて中火にかけ、沸騰後6~7分煮込む。
2.食べやすい大きさに切った豚肉を1分ほど煮て、焙煎ごまスープ2袋を加える。
市販のわかめスープがちょっと豪華になりましたね。ごぼうのささがきだけ頑張ればあとは簡単!
(3)「あさりととじゃがいものシンプルクラムチャウダー」
ハウス食品の「北海道チャウダー(クラムチャウダー用)」を使用したレシピです。冷凍あさりをたっぷり使った栄養満点のスープです。
【材料(4人分)】
・北海道チャウダー 1/2箱
・長ねぎ 1/2本
・じゃがいも 大1個 150~180g
・冷凍あさり (殻付き200~250g・むき身80~90g)
・バター 大さじ1
・水 300mL
・牛乳 200mL(あれば)パセリ、クラッカーなど
【作り方】
※下ごしらえ あさりを砂抜きして冷凍しておく。(または冷凍あさりを使用)
1.じゃがいもは皮をむいてさいの目に切る。長ねぎはタテに切込みを入れ1cm幅に切る。
2.鍋を中火にかけ、バターを溶かして長ねぎとじゃがいもを炒める。水300mLを加えてふたをして柔らかくなるまで約10分煮る。
3.鍋を下ろし、割ったルウと牛乳を加えて溶かす。
4.再度火にかけ、あさりを加えてふたをして再度5~6分煮込む。あさりが煮えたらできあがり。好みでパセリ、クラッカーなどトッピングしても。
あさりには栄養が豊富に含まれていますが、中でもタウリンという栄養素に注目。内科医の久住英二先生よるとタウリンには免疫バランスを整える効果があるそうです。タウリンは、あさりの他、イカ・タコ・牡蠣といった魚介類全般に多く含まれるようなので、あったかスープの具材に積極的に活用して冬の風邪やインフルエンザ予防に励みたいですね。
この冬はぜひ、うま味たっぷりの栄養満点スープをいただいて、元気に過ごしましょう。