クリナップが、電気・水道が無い場所でも調理ができる移動式の次世代キッチン「モビリティキッチン」のプロトタイプの発表会を、武蔵野美術大学 市ヶ谷キャンパスにて開催した。
2019年から武蔵野美術大学とクリナップの産学共同で「キッチンの未来ビジョンづくり」をスタート。2023年の2月には「未来キッチンプロジェクト」を発足し、“脱LDK”、暮らしとキッチンが自由になること、災害時に地域社会で助け合うことを目標に活動してきた背景がある。
“脱LDK”では、従来の固定化されたキッチンを自由にすることで、将来的にライフシフト対応や災害支援に貢献できると考案。クリナップ所属の竹内宏氏をプロジェクトリーダーに、移動式キッチンの研究開発を行ってきた。
また、ろ過装置の製作をする三美製作所との共同開発により、水道が無い場所でも水を循環することで使用できるシンクを実現。ホンダアクセスに車両協力を仰ぎ、屋外での運搬や使用についての実証実験を行うなど実用化フェーズにまで至った。
このほど発表された「モビリティキッチン」のプロトタイプは、上記の移動可能機能を持ちながらも、水道設備がない場所でも水を共有できる循環ろ過装置を搭載。加熱機器はバッテリー電源により、場所を選ばず調理することが可能と、メインキッチンとして使用できる性能を有している。
また、デザイン性にも優れており、柔らかいラインとファブリック調のテクスチャで家中のどこでも馴染む作りになっている。積み重ねることでコンパクトにまとめることも可能で、小型車両でも屋外に持ち運べるサイズになっていた。
そのほか、災害時にもチカラを発揮するとのことで、「モビリティキッチン」を持ち寄って食の支援をする未来も想定しているそう。場所や災害時などの時を選ばずに、いつもと変わらない調理環境を提供できるようになった。
今後は商品化に向けてデザインと機能性をさらにアップデートし、2030年までの事業としてさらに研究・開発を行い、新しいライフスタイルの創出と災害支援に貢献することを目指すとのこと。
発表会では、「未来キッチンプロジェクト」の一環として「未来キッチン イラストコンテスト」が開催。同コンテストは「キッチン」をテーマに未来やSDGsについて考えるきっかけを持ってもらいたいという想いから実施され、全国の小学生を対象に募集した。2023年度は3,003作品が全国から寄せられ、最優秀賞1作品、優秀賞18作品、学校団体賞を5校決定した。
ペットボトルをエネルギーに変えることで食品を配達、生ゴミを肥料に替えたり、料理を手伝ってくれたりするきょうりゅうロボットで、最優秀賞に選ばれた小学3年生西岡蓮さんは「3000点の中から僕を選んでいただき光栄です」と挨拶。続けて「自然に優しくみんなが楽しめるキッチンです。食べられない人にご飯を届けてくれます。ニュースを見た時に戦争をしているときにご飯を食べられないのを見てこの作品を描きました」と話してくれた。