現代が忘れかけていたものに気付かせてくれる。”コウペンちゃん”の奥深いゲームソフト誕生

2020/11/24
Shoichi Sato

 

ツイッターやLINEスタンプで話題の肯定してくれるペンギン、コウペンちゃんがついにゲーム化。9月に発売されたNintendo Switch向けソフト「いっしょにあそぼ〜♪ コウペンちゃん」は、家族や友達と協力して遊べるのんびりパーティーゲームです。

舞台はノスタルジックな古民家カフェ。おなじみのキャラクターたちとコミュニケーションを取りながらイベントやミッションをこなしていきます。ただ「楽しい」、「可愛い」、「癒される」だけではないのがこのゲームの奥深いところ。開発を担当したネオス株式会社の長嶋朗氏と前田早都美氏に話を聞くと、現代が忘れかけている大切なモノに気付かせてくれる“教材”のようなプロダクトでした。

細部までこだわったキャラとの触れ合い

長嶋氏は「キャラクターを扱う当社はキッズ事業として知育学習に力を入れてきた。小さな子どもが安心して楽しめるようにというのが、本プロジェクトの始まり」と開発の経緯を説明。ところがプロジェクトを進めるうちに、コウペンちゃんの奥深さに気付きます。「現代はデジタル化が進み、コミュニケーションも変化した。褒められることも、怒られることも少なくなった。そこから生まれた寂しさを感じる人たちが、コウペンちゃんに救われている」。画して「いっしょにあそぼ〜♪ コウペンちゃん」は、若年層女性をメインターゲットとして展開します。

“コミュニケーション”は当ゲームの裏テーマとも言えるでしょう。ゲームスタート時は、特定の場所にしか行くことができません。キャラクターと会話をし、課題をクリアして徐々に仲良くなってから進むことができます。親密になるとキャラクターたちは、また違った顔を見せます。まだ見たことのない言動に出会うために努力していくのが、このゲームの妙なのです。

「コウペンちゃんの生みの親、るるてあさんの世界観を踏襲して大人も楽しめる演出にこだわった」と話すのは前田氏。何気ない空の部屋でも飲みかけのコップが置いてあったり、数が違ったりと様々な演出が施されています。前田氏は「ついさっきまで誰かいたのかな。何人が遊びに来ていたんだなと、ユーザーの想像力をかきたてる残り香までを描いている」とこだわりについて語りました。

長嶋新規開発部長(右)と前田マネージャー

「あなたを見てくれている存在は、必ずいる」

原作者でイラストレーターのるるてあさんは「コウペンちゃんを描いたのは4月頃。環境が変わって、気持ちが落ち着かない人も多いだろうと感じていたので『自分だったらどういうことを言われたいか』、『どんなセリフなら嬉しいか』を考える中でできあがったキャラクター」と誕生秘話を明かしました。「何気ない毎日は当たり前のこと。でも、その毎日の積み重ねはすごいことで、褒められるべきことだと思う。その代弁者がコウペンちゃんですし、毎日仕事や学校、家事育児など沢山頑張ってるのを必ず見てくれてる存在がいます。その存在がなかなか感じられない時、少し空いた時間にゲームを手に取って遊んでください。少しでも心の支えになれたら嬉しいです。
「私のその存在は皆さんです。」とるるてあさん。

自身もゲーム好きというるるてあさんは、コウペンちゃんゲーム化について「素直に嬉しい。すべてのキャラクターに命が吹き込まれている。『声をかけてくれたり、気にかけてくれることは嬉しい』と感じることができるゲーム」とし「毎日、仕事や学校、家事、育児などで頑張っている姿を見てくれている存在は、必ずいる。その存在をなかなか感じられない時は、ゲームを手に取って遊んで欲しい。コウペンちゃんの存在が、少しでも心の支えになれば」とメッセージを投げかけました。

映画のワンシーンのような感動CM

ネオス株式会社がこれまで取り組んできた教育的側面と、るるてあさんの世界観、現代の社会背景、コウペンちゃんが持つ力。様々な要素が融合してできあがったゲームの枠を超えたゲームです。今後は本来目指していた小中学生ユーザーを取り込むため、クリスマス商戦を視野に動画メディアなどに展開していく予定です。

ちなみに、こちらはすでに公開されているCM。PRを超えた、胸に刺さるメッセージが140秒の中で表現されています。

動画を見て何かを感じた人はえらい!買おうと思った

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Shoichi Sato
この記事を書いた人

Shoichi Sato

地域ミニコミ紙の編集記者、広告代理店を経てフリーライターとして活動中。趣味は山登りなど、スポーツ全般の元高校球児。未確認生物や宇宙、戦国時代 などが好きなロマン追求型。座右の銘は「気は遣うものではなく、配るもの」。 ブログ:s1-thats-WRITE

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