みなさまは「かこさとし」という人名、ご存知でございましょうか…。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」や「からすのパンやさん」など、数多くの名作を手がける絵本作家さまでございます。
その作品数は、600超!!100万部越えの作品も1冊や2冊ではございません。絵本界のレジェンド中のレジェンドでございます。
お名前でピンとこなくても、かこさまの作品は必ず一度は目にしているはずでございます。
そんなかこさまは昨年5月に惜しまれながらこの世を去られました。そのニュースはメディアでも大きく報道され、今でも全国各地でかこさまの展覧会が開催されております。
かこさまの作品には、環境問題や戦争、多様性などをテーマにしたものも多く、大人になった今読んでも気付かされるものが多いのでございます。
2016年に復刊された「こどものとうひょう おとなのせんきょ」(童心社)は、
36年前に出版された「選挙」や「民主主義」を問う名作で、フェイスブックやツイッターなどSNSで大きな反響をよんでおりました。
それだけではございません!
実は、会社員や起業を目指していらっしゃる方に読んで頂きたい、ビジネス書として気づかされることが多い作品もあるのでございます。それが、こちら。
「からすのパンやさん」(作:かこ さとし 出版社:偕成社)
刊行されたのは1973年。今でも現役バリバリ!図書館でも大人気。親から子へ、2世代、3世代にわたって愛され読まれ続けている200万部超えのミリオンセラーでございます。
森の中に一軒のパン屋がございました。その経営者であるカラスの夫婦に4羽の赤ちゃんが生まれるところから物語は始まるのでございます。
子どもが生まれ、忙しく、仕事もおろそかになり、どんどん客は減り貧乏に…。そこからV字回復を達成し、行列のできる人気パン屋になるまでのお話でござます。その過程に、ビジネスの成功術が詰まっているのでございます。
例えば、客が大挙して押し寄せたシーンでは、店長は「きょうは、たくさんお客さんがいますのでひとり、3個までとさせて頂きます」さらに、「3つ買われる方は茶色の風車、2つ買われる方は赤い風車、ひとつの方は黄色い風車、パンを買わずに見物に来た方は白い風車のところにお並びください」と。
すると、不思議なことに、火事と間違えたり、けんかや泥棒と思ってやって来たカラスたちも、たくさんいたのですが、きまりが悪いのか、白い風車の所には、一羽も並ばなかったのでございます。そう、人間の虚栄心を見事に逆手にとった戦略でございます。子供の頃、読んだ記憶のある方も、当時はそんなこと気がつかないまま読んでいたに間違いナッシングでございます。
大人になった今、是非改めて読んで頂きたいのでございます。数ある絵本の中で、最強のビジネス書ではないかと…。
続編として、2013年に4羽の子ども達が独立して商売を始める絵本も4冊刊行されております。「からすのやおやさん」「からすのおかしやさん」「からすのてんぷらやさん」「からすのそばやさん」、こちらもビジネスのヒント、アイデアが盛り込まれております。
もちろん、お子様が読んでもゴイスーに楽しい内容になっております。200万部がそれを証明しております。
お子様に読まれた後、ビジネス書としてお楽しみ頂ければと存じます。
本屋さん、図書館に行けば置いてあること間違いナッシングな超テッパン絵本でございます。是非、ビジネス書としてご体験くださいませ。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)