4月1日から働き方改革関連法が施行されました。ところが、その日、新しい元号が発表され、その日のニュース、情報番組は新元号「令和」一色でございました。そのため、本来、大きく取り上げられるべきトピックスだったにもかかわらず、ほとんど取り上げられておりませんでした。が、
4月1日から嘘偽りなく働き方改革は新しいフェーズに入っております。違反した場合、事業者に罰金などが科されるなど、企業が働き方改革への取り組みを実行する段階に入ったのでございます。今後、さらに働き方改革を実感される方が増えてくるはずでございます。
これからAIも台頭してまいります。自分にとって仕事とは…会社とは…。「会社」(仕事)や自分の働き方について改めて考える機会が増えるはず…。また、自分の子供に対しても、今後どんな教育、キャリアを積ませればいいのか、悩む親御さまも増えております。
そんな働き方に悩む現役バリバリの働くお父さま、お母さまのハートにグサリと刺さる会社絵本が今話題になっております。昭和61年、今から30年以上も前に描かれた絵本でございます。それが昨年、復刊されたのでございます。“働き方”が注目される中での復刊でございます。そこには、必ず意味があるはずでございます。
復刊時(昨年)には、大手新聞社が続々、コラムや書評でこの絵本を取り上げておりました。そこからも、この絵本の注目度の高さ、今、読むべき意味が伺えるのでございます。
少々前置きが長くなりましたが、その絵本がこちら。
「やまのかいしゃ」(作:スズキ コージ 絵:かたやま けん 出版社:福音館書店)
作者のスズキコージさまは、大御所の絵本作家さまでございます。先日、Eテレの「日曜美術館」でも特集されておりました。71歳、絵本を描き続けて50年でございます。いわゆるお行儀のいい絵本ではなく、奇想天外な発想で多くの大人のファンを魅了してきた絵本作家でございます。絵もワイルドでございます。
内容を少々ご紹介させて頂くと…
主人公であるサラリーマンのほげたさんは、その日、朝寝坊して電車に飛び乗りました。ところが、その電車は反対方向に…。
少し前に、テレビ東京で「逆向き列車」という番組がございました。通勤電車をホームで待つ会社員に対して、番組リポーターが「今日、会社を休んで、好きなところへ出かけてみませんか」とそそのかし、その行程をドキュメンタリーで紹介するという番組でございました。
「このまま、会社を休んで逆方向の電車に乗ってみたい…」ホームで、そんなことを考えたことのある会社員の方、少なくないのでは…。
話が脱線しました。主人公のほげたさんは、そのまま電車に乗って山の駅に到着。さらに、その山を登り、なんと頂上で仕事を始めるのでございます。最近よく耳にする、ノマドワーク、テレワークでございます。
山頂の空気はあまりにも美味しくて、ほげたさんは、同僚から社長まで自分の会社の全社員を山頂に呼び、全社員がそこで仕事をすることに。しかし、…。というお話でございます。相当ぶっ飛んでおります。しかし、時代が変わった今、ただ、ぶっ飛んだだけの絵本ではなくなってるのでございます。
ちなみに、スズキさまは、このぶっ飛んだ物語を、会社員の友達や社長から話を聞き、さらに、ボブ・ディランの歌の歌詞に刺激されて、作られたそうでございます。
今の会社でいいのかな…今のような働き方でいいのかな…なんて悩んでいる方には、何かヒントになるかも…な大人絵本でございました。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)