人間の寿命はこれまで、着実に伸びてきました。100歳まで人生が続くのが当たり前になる時代。いわゆる「人生100年時代」の概念が、日本でも広まってきました。
そんな中、野村不動産と関電不動産開発が手がけている「(仮称)日吉大規模複合開発プロジェクト」では「人生100年を考えようLAB」が発足。人生100年時代を見据えた街づくりを考え、実験・探求・情報発信などをしていくプラットフォームです。
さて、このほど「人生100年を考えようLAB」は活動の第1弾として、1都3県に住む20〜60代以上の男女1,000人以上を対象に、「人生100年時代」に関するアンケート調査を実施しました。すると、男女や世代間におけるギャップが浮き彫りになったのです。
特に40代女性は不安が大きい
まず、「人生100年時代」を聞いたことがあるか、どの程度知っているかという質問。「聞いたことがある」と答えた人は64.8%でした。しかし、「具体的な内容まで知っている」は4.6%に留まり、「聞いたことがある程度」がほとんどです。
「人生100年時代」に向けた期待については、20〜50代と60代以上で大きな差が生まれました。60代は男女ともに「働き続ける」、「柔軟に生きる」、「家族と一緒にいる」ことなどを期待しています。中でも「趣味への意欲」や「健康を保つ」について、高い期待値を示しています。
一方で20〜50代は、「働き続けることに期待している」と答えたのが全体の42%。60代以上と比べ、あらゆる項目において期待する人の割合が下回っています。
特に40代女性が抱える不安は顕著。72%が「働き続けることが不安」と回答しています。また、「柔軟に生きる」、「家族と一緒にいる」、「趣味への意欲」、「新しい人との交流」などの不安も、男女の平均より高い割合でした。
同LABは40代女性に不安が多い要因を「子育てをしながら働く女性が、現実に仕事と家事・子育ての負担が集中し、柔軟に生きられない状況に直面していることがあると考えられる」とし、「40 代女性の中には就職氷河期に該当した人もおり、非正規雇用などで雇用条件や生活が比較的厳しく、他の世代に比べると将来に希望を持ちにくい人が多いこともあると考えられる」と考察しています。
「資産を保つ」に自信なし。政府財産への不安も
「健康でい続けること」、「学び続けること」などの5項目について、どの程度自信があるかという質問では「資産を保つこと」に自信を持てない人が多く見られました。約半数の48.1%が「あまり自信がない」または「全く自信がない」と回答。また、「働き続けること」に関しても約46%が「あまり自信がない」または「全く自信がない」と答えています。
「資産を保つ自信がある」のはやはり60代以上が多く、「健康を保ち続ける自信」や「学び続ける自信」なども3、40代より高い数値でした。このギャップについて、同LABは「60代以上は資産をある程度保有し、健康に気を付けた生活を送り、 カルチャースクールなどで学習もしているためではないか」としています。
日本社会への不安についても“お金のこと”が目立ちます。「政府財政」、「医療環境」、「教育環境」、「雇用環境」、「住宅環境」の中で、不安と答えたのが最も多かったのは「政府財政」。「とても不安」、「やや不安」の合計は76.1%です。
こうしてみると、年齢による「人生100年時代」に対するギャップは、「お金」が大きく関わってきそうです。稼げる時に稼ぐ。将来の資産形成。色々なことを考えさせられる、興味深いデータです。
参考:https://hiyoshi-100lab.jp/