【感動】胸を打つ、アスリートのグラウンドでの涙

2021/10/12
南城与右衛門

2021年夏に行われた東京五輪。男子サッカー日本代表は3位決定戦で敗北。試合終了を告げるホイッスルが鳴ると、若きエースの久保建英選手は人目もはばからずピッチで号泣しました。その真意は推し量る事しかできませんが、彼が受けているプレッシャーを考えると胸が熱くなり、称賛しかありません。今回はそんなグラウンドで見せたアスリートの涙について紹介します。

サッカー 久保建英(20)

東京五輪で男子サッカー日本代表は3位決定戦で敗北。試合終了とともに号泣した若きエース久保選手。視聴者としては20歳で背負わなければプレッシャーに負けない活躍をしていたと称える言葉しか出て来ませんが、当の本人にすればそうもいかないようでした。

久保選手はその後のインタビューでも涙を隠すことなく応じました。「相手も疲れている中で3点を取られて、こっちは1点しか取れなくて試合が終わって、こんな悔しいことはないし、ちょっと……きついですね」「負けたので、次のチャンスが自分にあれば、しっかり勝利に貢献できるようにしたいですけど、今日の負けは重いなと思います」と語り、エースの矜持を見せていました。

テニス ノバク・ジョコビッチ

世界ランキング1位、ツアー通算80勝(21年9月時点)を超える、ジョコビッチ選手。21年は全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン選手権を制覇し、全米オープンに優勝すれば男子としては52年ぶりの年間四大大会制覇という快挙目前でした。8月の東京五輪では準決勝で敗れ、3位決定戦でも敗退する悔しさを胸に臨んだ全米オープン。順調に勝ち星を上げ決勝戦へと駒を進め、対戦相手はメドベージェフ選手。年間四大大会制覇まであと1勝と迫ったところで、なんとストレート負け。歴史的快挙は成し遂げられませんでした。

試合後、コートで涙を流すジョコビッチ選手。スタンドの観客がスタンディングオベーションで称賛。それに応え、腕を上げるジョコビッチ選手……一体となった会場は見るものに感動を与えました。

試合後ジョコビッチ選手は「やっと終わったのがうれしかった。同時に悲しさや失望も味わったが、観客と、彼らがつくり出してくれた特別な瞬間への感謝の気持ちも抱いている」と悔しさの他に安堵もあったと明かしました。

競泳 萩野公介

東京五輪・競泳男子200メートル個人メドレー決勝で惜しくもメダルに届かなかったものの6位入賞を果たした萩野選手。そのひとつ前、準決勝のレース後インタビューで萩野選手は人目をはばからず涙を見せました。

「本当にいろいろなことがあったんですけど、もう一本決勝を泳げるなんて、そして(瀬戸)大也と一緒に泳げるなんて、神様がくれた贈り物としか思えないなと思って。すごくいま幸せです」。

萩野選手は前大会リオ五輪で金を含む3つのメダルを獲得後、肘の手術をするなどプールを離れる時期もありました。また盟友の瀬戸大也選手もスキャンダルなどで、こちらもプールを離れた期間が。そのような困難の中で挑んだ東京五輪に感慨があっての涙だろうと思っていました。

しかし大会終了後、萩野選手の現役引退報道。まだ公式に表明されていないため、真偽は分かりませんが、もし事実でその覚悟でレースに挑んでいたのであれば、その涙の意味も変わります。

プロ野球 森本稀哲

日ハム、横浜、西武で活躍した森本稀哲さん。バラエティー番組に出演するなど球界のムードメーカーでした。そんな森本さんも2015年、34歳で16年の現役生活に別れを告げることに。この年9月末の引退試合では最後の打席となるネクストバッターズサークルですでに男泣きでした。

というのも、この引退試合、森本さんが出場したのは8回表で守備交代から。打順は7番でウラの西武の攻撃は1番から。チームもリードしているため9回裏の攻撃は無さそうで、普通に考えれば打者として森本さんには回ってこないはずでした。

ところが、西武ベンチでは「稀哲さんに回せ!」というムードになり、1番打者から始まった攻撃もあれよあれよという間にツーアウトでひとつ前の6番打者・栗山巧選手に。フルカウントまで粘り、外角のきわどい球を見極めフォアボール。ついに森本さんが最後のバッターボックスに立ちました。

後に森本さんが語ったところによると、この日、守備交代で出場したため打席が回ってくると思っていなかったそう。しかしチームメイトが必死に自分に回そうとしてくれている姿勢や打席に立てる喜びなどから、堪えていた涙があふれてしまったんだそう。スタンドのファンもスタンディングオベーションで森本さんを打席に迎えました。結果はサードゴロでしたが、最後の最後までチームメイトとファンに愛された選手でした。

いつもは屈強で、どんな感情にもぶれないメンタルをもつアスリート。そんな彼らがふと見せる人間らしい『涙』は、見る者に感動ともらい泣きをくれますね。

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南城与右衛門

"情報番組や誰も知らない深夜番組、ラジオなどを構成したり、ソーシャルゲームのシナリオを書いたりする、いわゆる駄放送作家。友達はPC、恋人は二次元、恩師はあらゆる漫画、といった充実した人生継続中"

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