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現在開催中の「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019」。その中でも大注目のフランス製の学園ホラー映画『スクールズ・アウト』が10月25日より公開になります。閉鎖的な学園モノであり、不気味な雰囲気に包まれたホラーでもり、サスペンスでもある一風変わった本作。そこで今回は、映画『スクールズ・アウト』のメガホンをとったセバスチャン・マルニエ監督へインタビューを敢行!!
Q、この企画はどのように始まったんですか?
「本作には、クリストフ・デュフォセの原作があります。この小説も売れていて、サスペンスであり、ホラーのようでもあります。読んだ時にすぐに映画化したいという気持ちに駆られ、映画化の権利を買いました。ただ、当時は私も25歳で映画の実績が無かったので、実際にすぐ映画化することは出来ませんでした。しかし、前作『欲しがる女』を撮り終えたタイミングで、プロデューサーに、この企画の話をした所、動き出しました。15年経って、脚本を書き直す際も、原作を読み返さず、最初に感じた感触などの記憶を頼りに書き直しました」
Q、本作の様々な登場人物のモデルはいますか?
「原作を出発点に、主人公のピエールや子供たちに自分と似ている部分を感じました。映画の企画を進めていく上で、自己中心的に進めていったのも主人公のピエールに近いと思いました。あとは役者たちと話しながら設定を決めていきました」
Q、2回観ると新たな発見がありますが、それは意図的ですか?
「特に意図はなく、一回目の観賞で分かるかとは思っていたのですが、ただ、見ているのが悪夢なのか現実なのか、幽霊が本当の事なのか、どうなっているのか分からないという観客が出てくるのは仕方がないと思います。ピエールが調べていく中で観客の皆さんも色々な出来事を知っていくような体験になったのではないかと気づく人は一回目で気づくし、気づかない人にしても別のサプライズがあります」
Q、子供たちや動物の演出は大変でしたか?
「子供たちの演出には全く苦労しませんでした。勿論、リハーサルを重ねたりしましたが、何より、私の言う事に耳を傾けてくれたので、全く難しいことはなく、逆に喜びでもありました。動物の演出に関しては、ちゃんと調教師を雇ったのですが、鹿の調教が難しくて、鹿のせいで6時間も掛かったシーンがありました。猫の演出の方がまだマシでしたね。あと、見ていて気持ちが良いものではありませんが、ゴキブリも難しくないんです。ただ、見失わないようにするのが大変でした。それに関して面白い話があります。ピエールの住んでた部屋の撮影は景色が気に入って、実際に住民が住んでいるアパートを借りたんです。でも大量のゴキブリが出る映画には貸してくれないと思ってので、ゴキブリのシーンをカットした脚本を出して許可をもらえました。でも用意したゴキブリの数は400匹。主演のロラン・フィットの寝るベッドの周りにスタッフが集まって、400匹のゴキブリが逃げないように見張りました。というのも1匹でも逃がしてしまうと繁殖して大変なので!! 実際、ロラン・フィットの体中を這うゴキブリの画が撮れました。でも、ロラン・フィットはあまりゴキブリのシーンは気にしてなかったですね。色んな奇妙な経験をしてもらったんですけど、一番、大変だと言っていたのは池を泳ぐシーンですね。魚などが泳いでる池だったので、それ以外のシーンは快く引き受けてくれて、とてもやりやすかったです」
Q、冒頭からの怖い雰囲気はどのように?
「勿論、そういう効果を狙って演出しました。つまり危険が常にそこにあってウロウロしている。だから、いつ何処から、その危険が襲ってくるか分からないという演出です。具体的にはカメラワークだったり音響などを駆使して恐ろしい雰囲気を出しました」
Q、原発や汚れた海が登場しますが、監督の考えは?
「本作には、私の考えが反映されています。子供たちは地球で起きていることに意識が高いんですけど、それでも一切、自分の感情を出さないですよね。ただアーカイブとなる映像を集めていることで、子供たちが地球に何を考えているのか表現されています。取り入れた映像というのは、津波や原発事故といった最も恐ろしい自然災害です。地球に起こりうる災害のたな卸し的な意味合いも持っています。冒頭の子供たちを見ていると、なんて恐ろしい子供たちだと思うと思います。上から目線で傲慢で攻撃的でと思うと思われます。ただストーリーが進むと世界の状況を憂いて、崩壊するのではないかという気持ちの表れなんです。子供たちが隠している内向的な考え方よ感情が映像を通して地球の将来について不安を抱えているのです」
Q、日本のファンへメッセージをお願いします!!
「フランス映画にしては珍しく、ジャンル映画であり、一風変わってる映画にはなっていますが、是非、劇場にいらして下さい。本作には日本とフランスの文化にとって非常に重要な意味を持つ作品であって、ここ数年、日本の皆さんの事をずっと考えていました。私自身、脚本も書いていますので、是非とも皆さんの感想を教えてくだい」
映画『スクールズ・アウト』は、「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2019」にて10月25日より公開となります。
映画『スクールズ・アウト』
監督:セバスチャン・マルニエ
出演:ロラン・ラフィット、エマニュエル・ベルコ、グランジ
2018/フランス/103分
原題:L'heure de la Sortie
ⒸAvenue B Productions - 2L Productions