「シンデレラ」や「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」などは皆さん、ご存知だと思います。どの話もグリム童話に収録された話なんですが、「手なしむすめ」を知ってる方は少ないのではないでしょうか?
実は、上記のお話とは、比べ物にならないくらいダークでバイオレンスなお話なんです。そんな「手なしむすめ」をさらに、大人仕様にグレードアップさせて、アニメーション映画化したのが、8月18日(土)から公開の映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』なんです。
本作は、日本でも流行った「本当は怖いグリム童話」の王道のような作品。なんて言ったって、悪魔の企てにより、両手を失った娘の壮絶なロード・ムービーなんです!
グリム童話「手なしむすめ」
そもそも、19世紀初頭にグリム兄弟によって書かれたドイツの民話集が「グリム童話」。そんな「グリム童話」の中でも、初版から収録されているのが、「手なしむすめ」なんです。
これが、抜群に残酷絵巻なんです!!
悪魔の策略
日々の食料にも困る貧乏一家。父親の元に現れた悪魔は、娘と引き換えに次々と溢れ出る黄金をプレゼント。巨万の富を手に入れ、急なセレブ生活へシフトチェンジした一家。そんな生活が許される訳もなく、悪魔は母親を殺し、さらに娘の両手を切り落とすよう父親に言ってくるんです。恐れのあまり、ホントに両手を切り落とした父親に絶望した娘は即家出。そこから、森の中で川の精霊に助けられたり、王宮で王と結婚したり、子供を出産したり、ストーカー並の悪魔に騙されて王宮からも家出する羽目になったり……と紆余曲折がキツ過ぎる波乱万丈が描かれていきます。
クセの強い作画は省略の美学
本作の最大の特徴は作画!! 父に両手を切り落とされた娘の映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』8月18日(土)から公開筆で描かれた大胆な絵柄。空白を残した背景。まるで絵本の挿し絵のようなアーティステックなタッチがインパクト大!!
輪郭線も繋がっておらず、登場人物の感情によって色合いさえ変わってしまうんです。恐らく、本作の映像を観れば、誰しもが先日、亡くなった高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を思い出すでしょう。
実際、登場人物のポーズは変わらない中で、徐々に表情だけが変わっていくなど、二次元の匠の粋な職人芸が表現されています。省略することにより想像を掻き立て、少なくもコロコロ変わる色合いはダイレクトに登場人物の感情に迫ってきます。
全て監督が1人で書いた作画
そんな主人公同様、手間暇が異常なレベルの本作のメガホンを取ったのは、フランスのセバスチャン・ローデンバック監督。なんと、本作は長編作品ながら、全て監督1人の手作業で描かれているんです。
予算の問題で頓挫した企画を諦めきれず、1年掛けて、1人で完成させた努力&執念がスパークしたお方なんです。
実は、筆絵という表現方法を選んだのも、「線を引く速さが必要だった」という製作上の問題をクリアする為の思案の結果だったんですね!!
このディズニーやジブリが裸足で逃げ出す残酷絵巻物映画『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』は、アニメながら、むしろサスペンス好きやダーク・ファンタジー好きにオススメの一本です!!
8月18日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開
© Les Films Sauvages – 2016