突然ですがトルコのある豪邸の話。
その豪邸は、なんと塀が水族館になっており長さ約50mの塀の“中”にはサメ、ウツボ、タコと約3000匹の魚が泳いでいるそうです。そのお値段、約1億円!!メンテナンス代やエサ代も凄そうです。
道ゆく人達は“塀”を眺めて楽しんでいるようで、豪富の真意はともかく、ちょっとしたプレゼントのよう。
そんなトルコの豪邸を見て、中国のある有名な農村を思い出しました。
それは『中国華西村』。1人の村長の発案で“中国一の金持ち”にまでに成長した村です。その成功の鍵は“富を分けあたえる”という発想から、なんです。
住民誰もがお金持ちになっちゃう村
『中国華西村』は、生活費がかかりません。村の住人全員に大豪邸を支給。ある住人の家をご紹介しますと、高級家具が並ぶ広いリビングの床と壁には大理石が惜しみなく使われ、3階建ての間取りは9LDKにお風呂が4つとトイレが5つ。広いシステムキッチンに、地下室、エレベーターまで完備という驚きの豪邸ぶり。
しかも、この村では光熱費無料、村の学校に入れば学費も無料、医療費や薬代も無料。まぁここまでは生活に関する事なので…と半ば納得も出来そうですが、ここでは終わりません。
村にそびえ建つ地上72階建ての高層ホテルでの宿泊、食事代も無料。因みに、日々の食事代も村から支給されています。そして、とっておきが…ヘリコプターでいつでも空中散歩が無料で楽しめること。さらにさらに、年1回の旅行までもがタダ!
この華西村は、いわゆる『郷鎮企業』といわれる、村全体が一つの株式会社のになって成功した例なんです。
村人が株主となって年収の8割を株の購入にあて、集まったお金で会社(村)は新たなプロジェクトに投資し、さらなる利益を生む。その利益を年収として還元する仕組みなんです。
村で経営している会社は鉄鋼、肥料、繊維など約120社で8150億円!さらに最近では『観光』に力を入れ、年間200万人が訪れる中国屈指の観光スポットになっているそうです。
この華西村は、村の党委員会幹部(村長)だった呉仁宝氏が、約50年前に、あまりにも貧しい村であることを憂い、国の監視をかいくぐりながら、ネジの製造工場経営をはじめたことに始まります。
工場は成功し事業を少しづつ拡大。やがて文化大革命も終わり、国が経済の立て直しをはかりはじめた頃には、近隣の農村にくらべて資金も技術力も格段に豊富でした。
「富を共同に分配する」という呉仁宝氏の考えが『華西村』を中国一金持ちも村へと飛躍させました。賢いお金持ちは、自分の喜びより誰かの幸せを考えているのですね。
人は、良くしてくれた人には自分も何かお返しをしてあげたいと思う心を持っていますが、その積み重ねが、お金を生み出していくのかもしれませんね。
< 取材・文 / 石橋アキ江 >